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癌検診が癌を作る原因

テーマ:コラム

今回は意外と知られていないレントゲンやCT検査の隠れた危険性について解説します。


【癌検診は有効か?】

癌検診が有効であるかどうかは20世紀後半から盛んに議論されています。

早期発見が癌にとって一番良いと、テレビや雑誌で著名人や芸能人が盛んに癌検診を薦めています。

そういったメディアで行われる啓蒙活動によって、癌検診は自分も受けるべきだと思っている方も多いでしょう。

『癌は早期に発見して早い段階で治療をした方が良い』というのは、決して間違っている訳ではありません。

しかし、実は【癌検診を受けることそのものが害になっている可能性がある】ということはご存知でしょうか?


【肺がん検診が肺がん死を招く】

『チェコ・データ』と呼ばれる興味深いデータがあります。

【定期的に検査を受けていた人の方が、受けなかった人達よりも死亡者の数が増えた】というものです。

そのデータは、6345人を年2回の胸部レントゲン検査を3年連続で受けたグループと、一切検査を受けなかったグループの2つに分けて行った結果得られたものです。

その6345人には健康状態を確認するために、さらに3年間全員に年1回の胸部レントゲン検査を受けて貰っています。

その結果、6年後には肺がん検査を受けたグループの方が検査を受けなかったグループに比べて、肺がんになった確率は1.27倍多かったという驚くべき結果が出ています。

その理由として、胸部レントゲンによる【医療被曝】が指摘されています。


【レントゲンによるX線の医療被曝について】

では、レントゲンの医療被曝とはどの程度のものかという話ですが、ある調査によると1枚のレントゲンを撮るのに被爆する線量は0.1mシーベルトとのことです。

福島原発が起こる前までの国が定めていた年間被曝限度が1mシーベルトだったので、それから考えると年間10回くらいまでのレントゲンは大丈夫な気はしますが、その年間被曝限度は365日で受けても良いとされるX線量なので、『チェコ・データ』の結果を見ると一度にX線を大量に受けると影響が出るいうことなのかもしれません。

いすれにしても、盲目的に癌検診を受けた方が必ず良いとは言いづらい内容です。


【CTの害】

では、同じように癌検診でよく使われているCTはどうでしょうか。

ここ数年CTの進化は著しいものがあり、マルチスライスCTという画期的なものも登場しています。

CTとは人体の断層画像が撮れるという点で意味があり、当然撮影枚数が多ければ多いほど、癌を発見する精度は上がります。

マルチスライスCTは1回の走査で複数の断層画像が撮れるという優れものです。

そのCTで心臓の断面を1枚撮るとどれくらい被曝するのかというと、驚くことに12~42mシーベルトと言われています。

頭部のCTは断面数によって違いますが、1.9mシーベルト~106mシーベルトと言われています。

この被曝量を表面で計測したのか深部で計測したのかによっても見方は色々変わってくると思いますが、少々誤差があったとしても恐ろしい数字です。

福島原発後に引き上げられた限界被曝量の年間20mシーベルトも1回のCTで軽く超えてくる場合があるということです。

最近人間ドッグで全身CTが行われることがありますが、検診で癌を探しに行っているのか癌を作りに行っているのか分からなくなる被曝量です。

これを裏付けるかのように、2004年にイギリスの『ランセット』という医学雑誌に【日本では癌患者様全体の4.4%がCTやX線の影響で癌になっている】という趣旨の論文が掲載されました。

その論文によると、これは世界最悪の数字とのことです。

CTの影響で癌が12%も増えるという外国のデータも存在しています。


【マンモグラフィーを使った乳がん検査の危険性】

乳がん検診に使う『マンモグラフィー』も、乳がん死亡率を減らす切り札であるかのように宣伝されてきています。

このマンモグラフィーも近年この有効性に疑問符がつく臨床試験の結果が相次いでいます。

2014年にカナダで9万人を20年以上追跡するという大規模な研究によると、乳がん検診を受診した人達と受診しなかった人達とで死亡率に差がなかったという結果になっています。

2015年の米ハーバード大学が行った約5万人を10年間追跡するという大規模な研究でも、『検診受診率が10%増えると乳がんと診断された人の数は16%増えたが、乳がん死亡率は減少していない』という結果になっています。

それだけではなく、【過剰診断】も問題となってきています。

つまり、検診によって一定の割合で過剰診断を受けてしまい、【無駄な治療】を受ける人が出てきてしまうという害が問題となっているということです。

アメリカではその割合は3分の1と推計されているので、日本でも同様の値があってもおかしくないと思います。

これらの欧米の統計をまとめると、乳がんの場合、50歳以上の女性1000人が約10年に渡りマンモグラフィー検診を受ければ、5人の乳がん死亡数を4人に減らすことができるが、あらゆる癌死亡数で見るとその数は21人で増えもしないし、減りもしない。

さらに検診を受けると1人の乳がん死亡を防げる代わりに、【約100人が偽陽性で再検査や針生検を受け、5人が不必要な手術を受ける】という結果になるということになります。

これらの報告を受けて、日本乳癌学会は『乳癌検診ガイドライン』で乳癌検査の推奨グレードをAからBに格下げをしています。


【癌検診によって命が助かる証拠はない】

癌検診が盛んに進められるようになって、癌の早期発見が増えているのは事実ですが、実は癌の死亡者数・死亡率も増えています。

早期発見によって、罹患者数が増えているのは明らかに検診のおかげですが、本来であれば癌による死亡者数や死亡率は減ってなくては辻褄は合いません。

これは、【癌検診によって命に関わらない癌を多く見つけてしまっている】という風に考えられるのが普通です。

罹患者数が増えているのは癌検診の精度が高くなってきているということもあると思いますが、【癌検診によって起こる被曝によって増えている】可能性も否定できません。

乳がんのマンモグラフィー検査は、20~30代は受けるべきではないとされています。

こういった事実を知ってくると、芸能人やマスコミが若い女性に乳がん検診を呼びかけているのは罪作りであるとさえ言えます。


曼荼羅アーティスト Petit Piano