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ヘルメスの杖とは

テーマ:神聖幾何学模様

ヘルメスの杖(ケリュケイオン)は、死者を導く伝令神ヘルメスの持つ魔法の杖です。


●ヘルメスの杖の外観●

ヘルメスの杖は、柄に2匹の蛇が巻きつき、その頭にはヘルメスの翼が飾られた黄金の杖です。

ある時ヘルメスが杖を携えアルカディアを訪れた時、争い合う2匹の蛇に出会います。

蛇は大地の力を現す、と考えられています。

ヘルメスは2匹の間にヘルメスの杖を投げると、両者は和解してその杖に巻きつきます。

ヘルメスの杖が力の均衡・対立物の和合を表す象徴である由縁です。


●ヘルメスの杖の持つパワー●

ヘルメスの杖は、所有者を守る力があると伝えられる杖です。

元々は、アポロン神のものであったのが、ヘルメスの作った竪琴と交換され、ヘルメスを象徴するアイテムとなっています。

一説にはアポロン神から贈られたヘルメスの杖は、富を生み出す杖とも記されています。

これは、ヘルメスの杖が商業・商取引や交渉の象徴となる由縁であると考えられます。

古代後期には、ヘルメスの杖は『水星』を表す『惑星記号』の基となりました。

そしてそれは、占星術と錬金術におけるその用法を通じて、同名の金属元素(メルクリウス=水星)を表すようになりました。

また、ヘルメスの杖は眠っている人を目覚めさせ、目覚めている人を深い眠りに誘うといわれています。

死にゆく人に用いれば穏やかになり、死せる人に用いれば生き返るという魔法を有すると伝えられています。

ヘレニズム時代(アレキサンドロスの時代)、ヘルメスはエジプトの知恵を司るトート神と融合して、錬金術の神ヘルメス・トリスメギスとなります。

ヘルメスの杖は、黄金を作る錬金術、力の象徴となります。


●魔法の杖『ヘルメスの杖』●

ヘルメスの杖は聖なる力を伝える者が携える杖です。

その名もギリシア語のカリュクス(伝令)から派生しています。

ギリシャ神話の伝令神ヘルメスは、ローマ神話では商人の神『メルクリウス』(マーキュリー)と同一視されています。

ヘルメスはこの杖を掲げ、冥界・地上界・天界を疾走し、ゼウスや神々の伝言を伝えます。

ひとたび使命があれば、神々の住むあらゆる世界に飛び立ちます。

弁舌巧みで相手の心をつかみ、駆け引き交渉も上手なヘルメスは、商業の神として崇められ、彼の持つ『ヘルメスの杖』は、商業のシンボルとなります。


●2匹の蛇●

2匹の蛇は、光と闇・善と悪・天と地・太陽と月・男と女・陰と陽を表し、ヘルメスが杖を持つと2匹の蛇は螺旋状に上昇し、二元性は統合されるのであります。

神話で蛇のシンボルは二通りにに解釈されます。

一つ目は、蛇の脱皮のイメージから、輪廻・永遠回帰・死と再生。

二つ目は、太陽の光のように、尽きる事の無い光を得ることの究極の超越のイメージです。


ヘルメスの杖は、偽りの自我を脱ぎ捨て真の自我に至る円環構造を、蛇を利用することで表現しているのです。

そしてこれは、ヘルメスを始祖とする神秘主義や錬金術、カバラの象徴でもあるのです。


曼荼羅アーティスト Petit Piano