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八百万の神とは

テーマ:コラム

昔の人達は自然の中に神様を見出し、信仰していきました。

神道の神々は、海の神・山の神のような自然界や自然現象を司る神々、商売や学問の神々・縁結びなど人間関係の神など、その数と種類の多さから【八百万の神(やおよろずのかみ)】と言われています。

太陽・月・山・海・土・火・風・水・川・雷などあらゆるところに神様が宿っています。

旧暦10月には全国の八百万の神が、出雲の国に集まり、【神在祭(かみありさい)】が行われています。

『八百万の神』とは、私達の日々の暮らしに、いかに神が身近に存在しているかを象徴する言葉です。


【自然の神様の由来とは】

宇宙のエネルギーやものを生み成す生命力は、目に見えるもの、見えないものを問わず、世界の森羅万象・生きとし生けるもの全ての源です。

そうした根源的なエネルギーや生命力を象徴するのが、天地開闢(てんちかいびゃく)のドラマで活躍する神々なのです。

森羅万象に宿る自然の神様の由来についてご紹介します。


●太陽の神様●

【天照大御神(アマテラスオオミカミ)】は、日本神話に主神として登場する神様です。

日本書紀では、伊邪那岐命(イザナキノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)の間に誕生しました。

日本神話において女神・太陽神として登場します。

太陽を神の象徴とし、信仰の対象にしていました。

あらゆる福徳・招福・国土安泰のご利益があるとされています。


伊勢神宮内宮には、『三種の神器』のひとつ【八咫鏡(やたのかがみ)】があります。

この鏡こそ天照大御神のご神体、多くの神社のご神体で、その心は【鏡にうつるあなたが神ですよ】と参拝する人々に気づかせることです。

神様は私の中にあると気づくことが、日本神道の真髄であり、天照大御神のご利益なのです。


●月の神様●

月を司る神として崇められるのが【月詠命(ツクヨミノミヒト)】です。

伊邪那岐命により生み出された神様で、月を神格化した、夜を統べる神として知られています。

名前の『ヨミ』は、月の満ち欠けを数えるという意味になります。

ご利益は、開運祈願・安産・病気平癒・五穀豊穣・商売繁盛などです。


●山の神様●

山を守り、支配する神は、山神・山祇(やまつみ)と呼ばれています。

山の神は【大山祇(オオヤマツミ)と呼ばれています。

日本神話で山を支配する神ですが、後に山・海の両方を司る神とされました。

ご利益は、金運招福です。


●海の神様●

海を司る神は、海神(ワタツミ)と呼ばれ、【大綿津見神(オオワタツミノカミ)】です。

『綿』=海の古語・『見』=司るで、海を司る神の意になります。

伊邪那岐命と伊邪那美命の間に8番目に生まれました。

ご利益は、豊漁祈願・漁業繁栄・海上安全・家内安全です。


●土の神様●

土の神様は、【土公神(ドクウジン)】と呼ばれています。

陰陽道における神の一人です。

土を司るとされ、仏教における『堅牢地神』(ケンロウチシン)と同体とされています。

地域によっては『土公様』(ドコウサマ)とも呼ばれ、仏教における普賢菩薩を本地とするとされています。

ご利益は、土木業守護・農業守護・製陶業守護です。


●火の神様●

【火之迦具土神(ホノカグツチ)】は、伊邪那岐命と伊邪那美命が神生みで生んだ火の神です。

その火が原因で、伊邪那美命は亡くなってしまいます。

火を扱う業者からの崇敬が高く、鍛冶屋や焼き物業といった業者から高く崇敬されました。

ご利益は、家内安全です。


●風の神様●

風を司る神様は、【志那都比古神(シナツノヒコノカミ)】と呼ばれています。

日本書紀では、伊邪那美命が朝霧を吹き払った息から生まれたとされています。

『シナ』とは『息が長い』という意味になります。

古代人は、風は『神の息』で起こると信じられていました。

ご利益は、五穀豊穣・長寿・病気平癒です。


●水の神様●

水を司る神様は、水の分配を司る神【天之水分神(アメノミクマリノカミ)】と言われています。

伊邪那岐命と伊邪那美命が生んだ河口や港の神である『速秋津日子神』(ハヤアキツヒコ)と『速秋津比売神』(ハヤアキツヒメ)の間に生まれました。

農業用水を司る神です。

『水分』(ミクマリ)=水(ミ)を配る(クマリ)の意味になります。

ご利益は、子供守護・子授け・安産です。


●雷の神様●

雷を司る神様は、【建御雷神(タケミカヅチ)】と呼ばれています。

名前の通り、雷の神として知られています。

伊邪那岐命が火神である火神迦具土を切り殺した時、剣に付着した血から化生した神です。

ご利益は、勝利祈願・旅行安全・武芸上達・事業成功です。


【全ての神の始祖・アメノミナカヌシ神】

天之御中主神(アメノミナカヌシ)は、古事記によって日本の神々の世界が体系化される時に、宇宙の始まりを象徴するビッグバン的な神格として作り出された神様です。

八百万と言われる日本の多くの神々の中でも第一番目の、日本の神界ピラミッドの頂点に位置する神様です。

名前の『天(アメ)』=宇宙・『御中(ミナカ)』=真ん中・『主(ヌシ)』=支配するという意味で、時間的にも空間的にも無限な宇宙そのものを体現しており、そこから『至高神』とされています。

天之御中主神は、全知全能の徳によって衆生の苦しみを救ってくれるありがたい神様です。

また、物事の真相を見極める能力にすぐれ、運命を司る神・叡智を司る神でもあります。


日本には八百万の神様がいると言われ、自然界にも神様が宿ると信じられてきました。

数多くの神様が存在し、神社を参拝するとご加護を授かるかもしれません。

日本全国の神社にお祀りされていますので、気になる神様にお参りされてみるのも良いでしょう。


曼荼羅アーティスト Petit Piano