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アダムとイブの誕生
テーマ:トリビア
◆アダムとイブの誕生◆
【アダムとイブ】とは、『旧約聖書』『創世記』に記された、神が創造した人類最初の男女です。
『創世記』には、人の創造の仕方に関して違う内容の記述が二つ存在します。
聖書は様々な伝承をまとめた書物である為、整合性がとれない内容や、重複する内容が見られます。
アダムとイブの誕生については、二つの逸話のうちのどちらかを選択して説明されることが多く、一つは『人(男女)は神にかたどって造られた』とする説明、もう一つは『土からアダムを造り、そのあばら骨からイブを造った』とする説明です。
いずれにせよ、『人間は神によって造られた』ということが聖書における重要なメッセージとなっています。
二つの誕生の仕方を見てみましょう。
●アダムとイブは神の形にかたどって造られた●
最初の記述は、神による天地創造の場面に続きます。
天地創造では、神は6日間をかけて世界の全てを創造したと記されています。
まずはじめに『光あれ』と言い、光と闇を分け、空と海・草と木・太陽と月・鳥や獣を創造しました。
世界の全てが揃った6日目の日に、神は『我々に似せて人を造ろう』と言い、神の形にかたどって男と女の『人』を創造します。
そして7日目に神は安息します。
●アダムは『土』からイブは『アダムのあばら骨』から造られた●
しかし次の場面では、『土を耕す人もいなかった』ことから、『主なる神は土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった』と記述されます。
アダムとは、ヘブライ語で赤土を意味します。
ここでは人間の肉体は土から造られ、生命の息吹が神によって吹き込まれました。
そして、『人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう』と神は考え、アダムのあばら骨を抜き取って、イブ(女)を造ります。
イブはヘブライ語でエバ(生命の意味)という意味です。
◆蛇・罪との関係◆
●蛇の入れ知恵で【善悪の知識の木の実】を食べてしまう●
神はアダムとイブを楽園に住まわせ、そこを耕し、守るようにされました。
そして『園の木から木の実を取って食べて良いが、善悪の知識の木の実だけは食べてはならない、食べると死んでしまう』と伝えました。
しかし、蛇が現れ『実を食べても決して死ぬことはない。それを食べると賢くなる』とイブを誘惑します。
イブは実を食べ、アダムにも渡したので彼も食べてしまいます。
アダムとイブは善悪の知識の木の実を食べたことにより、善悪がわかるようになり、自分達が悪を犯してしまったことを知りました。
●アダムとイブは楽園追放に●
神は二人をエデンの園から追放しました。
キリスト教の解釈によれば、神は全知全能で、人を思うままにすることができましたが、人間を信頼したので自由を与えました。
しかし、誘惑に負けて神に背いたアダムとイブは、神によって堕落した者となったのです。
●アダムとイブの神への裏切りが人類の【原罪】となった●
神から追求されると、アダムは善悪の知識の木の実を食べたことをイブのせいにして、イブは蛇のせいにしました。
これは人間の傲慢と罪の擦り合いだとされます。
時がくれば善悪を教えようとする神の計画を乱し、神への不従順により善悪を知った為、人間は善悪がわからなくなり、心に影が差したとキリスト教では解釈されます。
これらの一連の神への裏切りと傲慢が、人類全てが背負う【原罪】となったとされます。
●男・女・蛇に対して神は罪の代償を与えた●
神は、男・女・蛇にそれぞれ違う罰を与えました。
男は土が呪われるものとなった為、生涯食べ物を得ようとして苦しむことになりました。
そして、女は苦しんで子供を産むことになり、蛇は一生を這い回って過ごす運命を背負いました。
そして『食べたら死ぬ』と言われていた木の実を食べたことから、人間は『必ず死ぬ』運命となります。
人間がなぜ死ぬのかという原因が示されています。
●旧約聖書に記された人類救済の約束●
楽園で幸せに満ちていたはずが、神から与えられた自由を使って罪を犯したアダムとイブの罪は、全ての人類に及びました。
楽園を追われた人間は罪を重ねるようになり、人類全体が暗闇の中にいたところを救ったのがイエス・キリストです。
『旧約聖書』では、人類を見捨てることなく神は必ず救済するという約束を、モーセが神と契約します。
その契約を成就するのがイエス・キリストです。
◆アダムとイブの子孫と生涯◆
『創世記』にはアダムとイブの生涯については、詳しくは記されていませんが、その子孫たちの堕落のエピソードが次々と登場します。
最初の息子であるカインは殺人者となります。
●カインとアベルは人類最初の殺人者と被害者●
アダムとイブは最初の子供『カイン』を授かり、次に弟の『アベル』を授かります。
カインは土を耕し、アベルは羊を飼いました。
カインはある時、神に受け入れられたアベルに嫉妬し、自分は神に愛されていないと思い、神を憎みます。
カインは弟アベルを殺してしまいます。
神はカインを追放し、エデンの東のノド(さすらいの意味)に住みました。
アベルは死に、カインは追放されますが、アダムとイブは『セト』を授かります。
セトは家族を増やし、カインもノドで家族を増やし、地上に人類が増えてゆきました。
カインとアベルの物語は、人類最初の殺人として、絵画などの主題に取り上げられます。
●アダムは930年生きたとされる●
アダムは子孫を増やし、930年生きたと『創世記』に記されています。
イブについては記述はありません。
アダムとイブの3人目の子供であるセトは、912年生きたとされます。
●現在の人類は全員がアダムとイブの子孫●
『旧約聖書』『創世記』によれば、アダムとイブの二人から人類が広がっていった為、現在の人類は全てアダムとイブの子孫ということになります。
なお、堕落した人類に怒った神が仕組んだ【ノアの洪水】により、ノア一家以外の人間は一度滅んだ為、アダムとイブよりも近い人間の祖先はノアとなります。
聖書に記されたアダムとイブは、神が創造し、世界に現れた初めての人間の男女です。
アダムとイブが神の教えに背いたことで人類は原罪を背負い、イエス・キリストがその罪を贖うために犠牲となり、人類を救ったという考え方がキリスト教の柱となっています。
曼荼羅アーティスト Petit Piano