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病院に行かない方が健康になる

テーマ:コラム

【過剰医療の実態】

寿命を縮めるような無駄な医療、つまり『過剰医療』は大きく3つに分けられます。


●医療機器の過剰使用●

一般的に、CT検査の被曝線量は胸部X線撮影の被曝線量の600倍と言われ、CT検査による癌の発生件数は約30,000件、その内の14,500件が死亡すると予想されています。

日本人国民1人当たりの年間医療被曝量は、2.4mSvで世界平均の5倍で堂々の1位なのです。 


●薬の過剰投薬●

薬やサプリメントには相互作用があり、飲み合わせによっては思いもよらない有害事象に遭遇します。

薬の見直しが正しく行われず、ある薬の副作用に対して別の薬が処方され、さらにその副作用に対処するために次の薬が処方される、という連鎖(処方のカスケード)が起きれば、飲み薬は雪だるま式に増えていきます。


●過剰治療●

検診などで様々な検査をすると、無害な【癌の疑い】を高い確率で見つけてしまいます。

このような形で見つかった場合、そのほとんどが無害とわかっていても放置するわけにはいきません。

結局は手術やその一連で行われる抗癌剤治療を受けることになります。

これが過剰医療ですが、これによる副作用・合併症で命を落としたり命を縮めることがあるのです。


【過剰医療が起こる背景】

●医療機関の営利目的●

医療を行う医療機関も利益が上がらないと生活できません。

営利目的が行き過ぎると、CTやMRI検査の乱用に代表される不要な検査が横行したり、診療報酬の高い医療行為を沢山行い収入を増やそうとする医師が出てくることも必然です。


●患者さんのヘルスリテラシー不足●

医師が提示する医療行為以上のことを患者さんが求める場合も多々あります。

例えば、『この薬とこの薬が欲しい』と指定してくる場合もあります。

今の医療はサービス業的側面を無視できませんので、重大な副作用が懸念されない場合、希望通り薬を処方してしまう医師がほとんどです。


●防衛医療●

不必要な検査投薬の原因の一つに、医師の訴訟対策があります。

例えば、頭痛の可能性として『クモ膜下出血』を見逃すと【見落とし】と判断され訴訟リスクを抱えることになるので、不必要とわかっていても頭痛患者全員に頭部CT検査を実施する医師もいます。


【ポストコロナ時代は医療事故が少なくなる】

医師は毎年何十億ドル(何千億円)もの不必要な検査や外科手術を発注してきましたが、新型コロナウイルスの世界的大流行は、それが不要であったことを教えてくれました。

つまり、パンデミックは、【交通量の少ない世界】を私達に垣間見せたように、【医療事故の少ない世界】も垣間見せたのです。

『新型コロナウイルスの流行で、病院に行きにくくなった』という声が聞かれますが、それは本当に『困ったこと』なのでしょうか?

病院に行けないという非常事態から、【病院に行かない方が健康になる】という、驚くべき考察が導き出されました。


●2020年4月~9月の医療事故、3月以前に比べて18%減少、新型コロナによる患者減の影響か…(日本医療安全調査機構)

新型コロナウイルスの影響で2020年4月以降、【患者の減少→医療事故報告数の減少】が生じていたのです。


【医療過誤の原因は『失敗する医師』ではなかった】

いくつかの指標によると、医原性(医師の診断・治療が原因)の病気や怪我は社会で人の命を奪う主な要因となっており、アメリカでは病院の内外で毎年5万人から10万人もの死者を出しているといわれています。

医療過誤と聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?


●外科的ミス…患者の腹部にスポンジを残したまま手術を終える

●投薬ミス…胃酸を抑制するロセックの代わりに利尿剤ラシックスを処方する

●外科医が謝って健康な方の腎臓を摘出する


ですが、実態は異なります。

尿路感染症・手術部位感染・肺感染症・血流感染症などなど…。

病院での感染【院内感染】が頻発し、医原性の病を引き起こしているのです。


【病院に行くから病気になる(院内感染)】

病院に行くこと自体にリスクがあります。

病院に行けば行くほど【耐性菌】をもらってきてしまう可能性が高まります。

治療のため病院に行ったばかりに、病気になる、患者にとってこれほど恐ろしいことはありません。

実際、アメリカでは『毎年1万人の患者が院内感染により死亡している』という報告もあります。

病院に通っていれば安心、という考えは大きな間違いです。

それはまさに、病原菌の中に自分の身を晒しに行くようなものなのです。


【医師がストライキした期間の死亡率が減っていた!】

医療処置が悪影響を与える可能性を評価するために、医師がストライキをした時に何が起こったかを見てみましょう。

1976年から2003年の間に、世界で医師が起こした9日間から17週間の5回のストライキを分析したところ、全体として、死亡率はストライキ中も変わらなかったか、低下したことが判明しました。

死亡率低下の理由として考えられるのは、選択的手術の遅れ(およびそれに付随するリスク)と、医療過誤や負傷の減少です。


【専門医がいない方が患者は安全?】

また、医師不在の病院で、死亡率が下がっているというデータもあります。

年に2回の全米心臓病学会が開催されている間に(つまり、治療にあたる心臓病専門医の数が普段よりも少ない時期)、心臓発作や心不全で入院した高齢者の死亡率を、10年間に渡り調査したのです。

この研究によると、会議期間中に入院した(心臓病専門医ではない医師が治療を行った)数万人の心不全患者のうち、17.5%が死亡しました。

通常期に入院した(心臓病専門医が治療にあたった)数万人の心不全患者のうち、24.8%が死亡していることがわかりました。

そう、心臓病専門医が治療にあたって『いない』時の方が、心臓病患者の死亡率は低かったのです。


【病院のお金のために無駄な手術を受けていないか?】

2020年春の間、患者を感染暴露から保護し、急増する新型コロナウイルス患者の病床を確保するために、病院は全疾患の選択的手術および急を要しない外来診療を延期しました。

軽症ならば受診しない患者も増えました。

その結果、医療過誤や過剰な治療による死亡は減少したといわれています。


パンデミック以前の世界では、軽度の心臓発作のように、『治療を受けるよりも受けない方が良い結果になることが多い』疾患まで、治療されていたのです。

医療従事者は当然、人々に危害を加えたくはないのですから、医療システムはこの教訓を取り入れる可能性が高いです。

組織の歯車のように激務を強いられる医療従事者の働き方を改革するチャンスでもあります。 

新型コロナウイルスがもたらした広大な自然実験の詳細な研究をパンデミック後に分析したならば、多数の疾患の治療基準が再考されるといわれています。


曼荼羅アーティスト Petit Piano