お知らせ Information

輪廻転生の意味とは

テーマ:コラム

輪廻転生とは、仏教における中心的な思想の一つであり、生き物の魂が何度も生まれ変わりながら永遠に存在し続けることを意味します。

まるで車輪が回り続けるように生死を繰り返すことから、【輪廻転生】と呼ばれるようになりました。

また、どのような世界に生まれ変わるかは、それまでに積み重ねた行為の集合体である【業(カルマ)】に応じて決まります。

現世で沢山の徳を積んでいた者は幸せな世界に、自分の利益ばかりを優先していた者は苦しみの世界に、それぞれ向かうことになるのです。

また、釈迦の教えを厳格に実践し続ければ、やがて輪廻転生から抜け出すことができると考えられています。

輪廻転生から解放された状態は【解脱】と呼ばれ、誰もが目指すべき【悟り】の境地として重視されてきました。

以下では、輪廻転生の考え方を踏まえつつ、死後の世界に関して具体的に見ていきましょう。


【自殺した魂はどうなる?】

大きく分けて仏教では『地獄界』『人間界』『極楽』があるとされ、魂になった人が極楽に行くことを【成仏】(仏様に成る)と言います。

もしも成仏せずに人間界にいることになれば体のあった時と同じ世界をさ迷うことになるのです。


●痛み・苦しみ・悲しみの感覚がずっと残る●

人間は肉体と魂でできています。

わかりやすく言えば『車が肉体』『運転手が魂』です。

人間界の死とは『肉体がなくなること』とされていて、あの世にはお金も恋人も家族も地位も名誉も持っていくことはできません。

しかし、魂に残る愛と感覚と感性は持っていくことが可能になります。

ということは、死ぬ間際に『恨み』『怒り』『悲しみ』を持っていたとしたら、そのままの感覚で肉体を失うのです。

物理的な痛み・苦しみ・悲しみは死んでしまったら終わりですが、『痛い感覚』『悲しい感覚』『苦しい感覚』など死んでも終わりません!


●成仏できない●

どのような理由であれ、一度死んでしまったら二度と生き返ることは出来ません。

自分の葬儀で誰が悲しんでいるでしょうか。

それらを知ったところで誰にも声をかけることも自分が近くにいることも気づいてもらえないのです。

本人が死を受け入れ、未練・執着を手放さなければ成仏できずさ迷います。

もしかしたら遺族やこの世に生きている人の方が、あなたの死を受け入れ諦めるまでに時間がかからないかもしれませんね。


●本当の地獄を味わうことになる●

生き返ることも成仏することもできない魂は、性格も思考もそのままです。

霊になると時間の概念もなくなり、体力・食べること・体温・睡眠など体を保つために必要だったものは不必要になりますが、悩み苦しむ性格は残ります。

何十年何百年も成仏するまで長い期間、24時間年中無休で快楽もなく悩み苦しみ続けることになるのです。

空腹感など感覚も残ります。

この世の人間があなたから見えていても、死んだあなたの存在は誰からも気づかれず触れることもできず、たった一人…想像しただけでも地獄ですね。


【自殺してはいけない理由】

最大限に死の恐怖を味わう

死に方で迷惑をかける

肉体が消えても恨み・無念など感覚は残る

地縛霊・浮遊霊・悪霊などになりうる

即成仏できず地獄

後悔しても生き返れない

家族や大切な人も苦しむ


【地獄は輪廻転生する6つの世界の一つ】

仏教では生前の行いによって輪廻転生する6種類の世界のどれかに死後向かうとされ、それらの世界を【六道】と言います。

【地獄は六道の最下級の世界】です。

六道には下記のような世界があります。


①天道…天人が住む、安らかな世界

②人間道…四苦八苦に悩まされる人間の欲界

③修羅道…怒りの感情で溢れ、争いが絶えない世界

④畜生道…虫・動物などの弱肉強食の世界

⑤餓鬼道…飢えと乾きに苦しみ続け満たされない鬼の世界

⑥地獄道…罪を強制的に償わせる世界


【死後の世界とは】

●生まれ変わるための場所●

輪廻転生では、天寿を全うした人は『新たな生に向けた準備の始まり』として死を肯定的に捉えているのです。

人間は死を迎えた時、この世で自分の魂を縛り付けていた数多くのしがらみから解放され、本当の意味での安らぎを得られると考えられています。

自分よりも先にこの世を去った大切な人との再会に胸を膨らませる死者もきっと少なくないでしょう。

そのような過程を経て、生きていた頃の行いの良し悪しに応じて次の世界へと生まれ変わるのです。

どのような世界に行くかを自ら選択することは不可能ですが、自身の努力次第で、悪い世界への生まれ変わりをある程度避けることは出来ます。

そう考えると、現世でより善く生きようとするモチベーションも自然と湧いてくるでしょう。


【魂は永遠に生き続ける】

輪廻転生では、滅びるのはあくまでも肉体だけであり、魂は永遠に生き続けるとされています。

肉体から離れることによって自由を手に入れた魂は、新たな生に向けた準備期間に入ります。

【肉体は魂の入れ物】のようなものであり、別の肉体に魂が宿ったとしても、その魂が『自分自身のものである』という事実は永遠に変わりません。


【死後の世界があることで恐怖が和らぐこともある】

死後の世界を信じることによって、死に対する私達の向き合い方はポジティブな方向へと変わっていくに違いありません。

例えば、今は亡き大切な人と再会できる場として死後の世界を考えれば、死への恐怖心や抵抗感が一気に和らぐはずです。

また、死後の世界は、他人に対してやったことがそのまま自分に返ってくるという【因果応報の論理】で動いています。

ですから、幸せな世界に生まれ変わりたいと望むなら、現在身を置いているこの世界において可能な限り善く生きることを心がけてみましょう。


曼荼羅アーティスト Petit Piano