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黄金の夜明け団とは

テーマ:トリビア

黄金の夜明け団とは、19世紀末にイギリスで作られた隠秘学結社のことを言います。

隠秘学とはオカルティズムのことで、本来は占星術・錬金術・魔術などの実践を指しています。

黄金の夜明け団の教義は【カバラ】を中心として、当時ヨーロッパでブームを起こしていた神智学の東洋哲学・薔薇十字団伝説・錬金術・エジプト神話・タロット・占い・グリモワールなどを習合させたものでした。

教義を習得するごとに昇格試験を行い、上位の位階に進むというシステムを採用しており、【魔法学校】といった状態でした。

現在でも魔術やオカルトの話になれば必ず黄金の夜明け団が取り上げられると言っても過言ではなく、魔術界に大きな影響を与えているのは間違いがないでしょう。

黄金の夜明け団は、カバラを基本として魔術を編み出そうとしていました。

最盛期には団員は100名を超えていたと言います。


◆秘密結社とは◆

黄金の夜明け団は一種の秘密結社です。

秘密結社というのは、結社の存在そのものが構成員により隠されている、もしくは結社の存在は知られていても、活動目的や活動内容を構成員以外の第三者等に公開することが禁じられている組織のことを言います。

黄金の夜明け団の場合は入団するだけでは何も得ることができません。

秘儀伝授の儀式を受けた後にその位階を上がっていくことが求められていたのです。

つまり、黄金の夜明け団では知識を得るためには段階を踏む必要があり、入ったからといってすぐに全てを知ることが出来たわけではないのです。

また知り得たことに関しては守秘義務があり、内容は門外不出のものでした。


◆カバラとは◆

黄金の夜明け団の教義はカバラを基本としたもので、キリスト教神秘主義・東洋哲学・薔薇十字団伝説・錬金術・エジプト神話・タロット・占い・グリモワール(魔術書)などを総合したものであったとされています。

黄金の夜明け団は、これらを統合して魔術を編み出そうとしていたとされています。

カバラとは、ユダヤ教の伝統に基づいた創造論・終末論・メシア論を伴う神秘主義思想のことです。

またカバラと言えば、【数秘術】で占術の一つとして有名です。

一般的な占術の方法は、生年月日(西暦)や姓名などから、固有の計算式に基づいて運勢傾向や先天的な宿命を占います。


◆錬金術とは◆

錬金術とは、もともとは化学的手段を使って安価な金属から貴金属(特に金)を作ろうとする試みのことを言います。

広い意味においては金属だけに限らず、様々な物質、人間の肉体や魂も対象となります。

ありえないことを実現させようとしていたのですが、もちろんふざけていたわけではなく、本気で取り組んでいたのです。

錬金術の取り組む過程において、硫酸・硝酸・塩酸など、現在の化学薬品の発見が多くなされましたし、実験道具が発明されました。

つまり、錬金術が現在の科学に引き継がれている部分もあるのです。

当時は錬金術は学問の一つとして捉えられていました。

錬金術師と言うと、魔法使いのような服装をしている人のイメージがあるかもしれませんが、他の職業を持ちながら、錬金術の研究をしていた人も大勢いたのだそうです。


◆ウェイト版タロット◆

タロットカードはいくつかの種類、版があります。

そのうちの一つ、ウェイト版タロットは、アーサー・エドワード・ウェイトが黄金の夜明け団の解釈に基づき作成したものです。

1909年、ロンドンのライダー社から発売されたことから、ライダー版という場合もありますが親しみやすい絵柄が大ブームとなりました。

現在イギリスにおいてはタロットカードと言えばウェイト版を示しているのだそうです。

このウェイト版タロットは小アルカナまで全て絵札になっていることで、占いに非常に使いやすいとされています。

またカバラ的見地に基づき、整理・調整されているのが特徴となっています。

タロットカードの種類は何種類かありますが、ウェイト版タロットを見る機会が一番多いのではないかと思います。

またタロット占い初心者の場合は、まずはウェイト版から始めると良いという意見も多いことでしょう。


◆グリモワール◆

グリモワールとは、フランス語で『魔術の書物』という意味になり、特にヨーロッパで流布された魔術書のことを指しています。

内容としては、悪魔や精霊、天使などを呼び出し、願い事を叶えさせる手順であったり、その為に必要な魔法円やペンタクルやシジルのデザインが記されていました。

16世紀後半から17世紀にかけての魔女裁判(魔女狩り)が盛んだった時代においては、魔術に関する本を作ること自体が魔女と疑われることになる為、グリモワールが公になることはなかったと言われています。

その後中世後期から19世紀にはヨーロッパでグリモワールは『おまじない』が普及するにつれ、一般的な書物、実用書として流布するようになったと言われています。

今でも残っているグリモワールとして有名なものに『ソロモンの鍵』があります。


◆教義の習得ごとに位階を設定◆

黄金の夜明け団では、位階を設定していました。

入団したからといって団員は横並びではありません。

通常11種の位階があり、位階により教えられる教義や与えられる権限が違ったのです。

会社のように仕事を覚えて出世していくといったイメージを持つとわかりやすいかと思います。

この位階なのですが、最高位は肉体を持ったものには到達不可能とされています。

つまり、実質最高位になる人はいなかったということで、最高位のイプシシマスは魔術師からは洒落で『死』という意味で使われることもあったとされます。


◆黄金の夜明け団の創始者◆

ウィリアム・ウィン・ウェストコット

マグレガー・メイザース

ウィリアム・ロバート・ウッドマン


◆黄金の夜明け団に在籍していた人◆

ウィリアム・バトラー・イェイツ

アーサー・エドワード・ウェイト

アレイスター・クロウリー


もともと秘密結社という存在だった為に謎も多く、あまり情報がないのが特徴ですが、今も何冊かの書物が残っていますので、それらを読むことは可能です。

最盛期には100名を超える団員がいたとも言われてますが、徐々に内部崩壊やスキャンダルに巻き込まれるといったことで組織として分裂していったのでしょうか。

現在でもタロット占いで多くの人に愛用されているウェイト版ですが、黄金の夜明け団と関わりがあったということを知っている人は案外少ないかもしれません。

世界中の占い師、占い愛好者に、タロットカードウェイト版は今後もずっと愛用されていくことでしょう。


曼荼羅アーティスト Petit Piano